山口県の農業
たまねぎ
どんな料理でも活躍してくれる頼もしい野菜
どの家庭でもおなじみの野菜、たまねぎ。
質の高い栄養素と使いやすさから、万能食材と呼ばれるほど。保存がきくので長期間食べられることができ、1年を通して様々なメニューに登場します。山口県はたまねぎ栽培の歴史が深く、100年も前、北海道からやってきた種を改良し山口県の風土にあった品種が開発されています。主役でも脇役でも、和漢洋どんな料理でも活躍してくれる頼もしい野菜です。
栄養素
たまねぎには、血液をサラサラにしてくれる効果や、動脈硬化予防、ダイエットに効果があると言われています。たまねぎに含まれる代表的な栄養素は、硫化アリルとケルセチンです。硫化アリルは、たまねぎ特有の辛味や匂いの正体。血栓の生成予防や解毒・殺菌作用の手助けをするほか、ビタミンB1の吸収を助けてくれます。硫化アリルは水溶性なので、水にさらすと溶け出てしまいますが、空気にさらしておくと辛味だけ抜けていきます。ケルセチンはポリフェノールの一種です。たまねぎの皮の黄色は、ケルセチンが色素となっています。血流を良くするほか、悪玉コレステロールを減らしたり、脂肪の吸収を抑える働きがあると言われています。たまねぎは、基本的な栄養価が高いというわけではありません。にもかかわらず健康食材として注目されるのは、ビタミンB1のような他の栄養素の吸収を助けたり、他の野菜にない栄養素を多く含んでいるためです。
選び方
皮の色が濃く固く締まっているもの、表面が乾燥していて艶がよく、傷やカビがないものを選びましょう。頭を押してみて柔らかかったり、芽が出ているものは古くなっている可能性があります。赤たまねぎは鮮やかな赤紫色をしていたら、新鮮な証拠。また新たまねぎは、持ってみてずっしり重たいものは水分が多く中が新鮮なサインです。真っ白すぎず、少し青みがあるものを選びましょう。カビが生えやすいので、表面をよく確かめるのも大切です。
保存方法
湿気が少なく、風通しの良い場所で、常温で保存します。環境が良ければ2〜3ヶ月持つので、ネットなどに吊るしておくのもオススメです。皮をむいてカットした後は、ラップなどに包んで冷蔵庫に入れます。新たまねぎは、水分が多く傷みやすいので、早めに食べきるようにしましょう。保存する場合は新聞紙などに包んで涼しく風通しの良い場所か、冷蔵庫へ。新聞紙で包むのは、クッションとしての活用と、急な温度変化の防止、また保湿のためです。
調理・料理
万能食材と呼ばれるたまねぎは、様々な料理に使われています。
しばらく水にさらすと、辛味が和らぎ、シャキシャキとした食感になります。空気に晒すのもオススメです。栄養分が抜けすぎず、辛味成分だけを蒸発させることができます。辛味が少ない新たまねぎは、サラダなどがオススメ。たまねぎは加熱すると甘みが増すので、炒めたり煮込んだり、蒸したりしても美味しくいただけます。ビタミンB1を多く含む豚肉と一緒に食べると、栄養の吸収を促進します。たまねぎは切り方によって食感や味わいが変わります。繊維に沿ってきると薄切りにしても形が残りやすく、くし切りにすると煮崩れしにくく甘みも感じられます。繊維を断ち切るようにきると火が通りやすく、味が良く染みます。柔らかな食感にしたいときは薄めに。バーベキューやフライにするときは、見た目も綺麗な、太めの輪切りがオススメです。細かいみじん切りにすると他の食材とよく馴染みます。頻繁に使う食材なので、切り方や調理のバリエーションが増えていくと幅が広がります。
栽培状況
日本でのたまねぎの栽培は、北海道が特有の気候と広大な土地により、国内の半分以上を占めています。北海道では春に種をまき、秋に収穫を迎えます。貯蔵できるので、北海道のたまねぎは春先まで出荷されています。夏の間のたまねぎは、佐賀県、兵庫県を始めとするその他の地域が、秋に種をまき収穫します。収穫したたまねぎは乾燥され秋まで出荷が続き、無くなった頃には北海道の新たまねぎが収穫となるので、一年を通してたまねぎがなくなることはありません。山口県では、山口市、萩市、防府が主要な産地となっています。山口県のたまねぎ栽培の歴史は長く、100年ほど前に山口県で生まれた「甲高たまねぎ」は、近年出回っている品種の源流と言われています。現在は機械による省力化が進み、4月〜6月に収穫し、春は新たまねぎ、その後は黄たまねぎとして出荷されます。
主な品種
たまねぎには色々な品種があります。大まかに分けても黄たまねぎ、赤たまねぎ、白たまねぎ、葉たまねぎ。アーリーレッド、ペコロス、エシャロットなど様々です。ちなみに、新たまねぎは品種名ではありません。一般的なたまねぎは、収穫後貯蔵のため乾燥させていますが、新たまねぎは乾燥前の早取りたまねぎのことです。たまねぎは近年、産地によるブランド化も広がっています。佐賀県の「さが春一番たまねぎ」、静岡県の「サラダオニオン」、兵庫県の「淡路島フルーツたまねぎ」などです。山口県では、萩市の「大井の玉葱」が2015年に山口ブランドに登録されました。大井のたまねぎは、大玉で肉厚、甘みが強いことに加え、傷がないか確認するために一つ一つ手作業で薄皮一枚を残した「みがきたまねぎ」であることが有名です。
旬
北海道産の黄たまねぎは9月ごろから5月ごろまで、その他は3月ごろから10月ごろまで出荷が続くので、たまねぎは基本的に全国で通年手に入ります。新たまねぎは主に春の初めが旬です。品種によって収穫時期や保存期間が違うので、黄たまねぎ以外が欲しい時は気をつけましょう。例えば、白たまねぎの品種「真白」は、7月から9月が収穫時期で、保存もきかないため短い期間しか出回ることがありません。