山口県の農業
きゅうり

きゅうりの原産地はインドからネパールで、3000年以上前から栽培されてきたとされています。日本で本格的に普及したのは江戸時代から。熟すと黄色くなることから「黄瓜」と呼ばれたのが名前の由来です。「世界一ローカロリーな果実」として有名なきゅうり。身のほとんどが水分で構成されていますが、栄養が「ない」わけではないのです。また、生食でいただくことの多い野菜ですが、実は火を通しても美味しく食べられます。漬物にしたり、炒め物にしたり、汁物に混ぜたりと、きゅうりの「新たな一面」を探してみてはいかがでしょうか。
栄養素
「栄養のない野菜」と思われがちですが、カリウムやビタミンK、食物繊維などを多く含んでいます。カリウムはむくみ改善効果につながります。また、約95%が水分でできているため、身体を冷やす効果があります。熱中症対策や、食欲不振でもあっさりと食べられる夏バテ防止食材として重宝されています。
選び方

「緑色が濃くてムラがなく、重みのあるものを選びます。太さが均一で、両端が固いものがおすすめ。曲がっていても味に影響はありません。イボのある品種は、ゴツゴツ尖っている方が、新鮮な証拠です。大きく成長しすぎたきゅうりは基本的に敬遠されがちですが、実は漬物にすると美味しく、お買い得です。
保存方法
ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室に入れておきます。きゅうりは意外とデリケートです。水気にも乾燥にも弱いので、冬場は風通しの良い冷暗所で保存しましょう。また、冷やしすぎるとかえって傷みやすくなるので、包んで保存し、早めに食べ切ります。長期保存する場合は、スライスして塩もみし、冷凍して保存しましょう。
調理・料理

生のまま食べるときはサラダや酢の物、和え物にするのが一般的です。表面のイボが気になるときは、洗ってまな板に置き、塩をふってゴロゴロと転がしてイボをとります。「板ずり」という作業で、色鮮やかにする効果もあります。マヨネーズやドレッシングで洋風も、醤油やからしで和風も、酢や鶏がらで中華風にもできます。ぬか漬けや浅漬けは基本のメニュー。他にも、醤油とニンニクで漬けたり、ビール漬けも美味しくできます。きゅうりは、火を通しても美味しくいただけます。魚介や牛肉と一緒に、ごま油でさっと炒め物に。また、薬味の香りを移した熱い油を回しかけて、表面だけ火を通した和え物にするのもおすすめです。
栽培状況

日本でのきゅうりの栽培は、平安時代が始まりと言われ、今でも野菜の収穫量の中では上位に入る人気野菜です。きゅうりの生育適温は18〜25度で、現在は多くがハウス栽培となっています。品種改良や栽培技術の進化により、もっとも栽培が盛んな宮崎県を中心に、周年栽培が行われています。近年、きゅうりの栽培については様々な研究が進められています。山口県では、宇部市の東部地域がハウスきゅうりの産地として有名です。
主な品種
日本に渡って来たきゅうりは、時代により少しずつ違います。江戸時代以前は「華南系」、江戸時代からやって来た「華北系」、そしてシベリア地方からやって来た「シベリア系」が主な系統です。日本各地で様々な品種が栽培され山形県の「鵜度川原きゅうり」、群馬県の「高山きゅうり」、広島県や愛知県で栽培されている「青大きゅうり」などがあります。山口県では、山口市仁保地域の「仁保きゅうり」、岩国市の「地這きゅうり」が伝統野菜として残っています。他にも、イボなしの新しい品種や、あしらいに用いられる花付きの幼果、ピクルス用に開発された「ミニQ」など、たくさんの品種が栽培されています。
旬
栽培技術の進歩により、きゅうりは1年を通して食べられるようになりました。もっとも盛んに収穫されるのは5月〜9月の夏の時期です。きゅうりは成長がとても早く、ピーク時には1日に2回収穫しなければならないほど。9月〜6月ごろにかけては、「冬春きゅうり」が出回ります。