【下関】JA職員が八乙女に 神事継続に一役
2020.05.25
下関市の長門國一宮住吉神社の伝統行事「御田植祭」が5月17日に開かれ、JA山口県下関統括本部の女性職員8人が八乙女に扮し、神事を執り行いました。例年は、地元の市立勝山中学校の生徒が早乙女・八乙女となり、舞いや歌声に合わせて神饌田(しんせんでん)に稲を植えますが、新型コロナウイルスによる臨時休校で練習ができず、参加を見送りました。住吉神社の御田植神事への強い思いを汲み、「農業」の協同組合として、同統括本部が代役を引き受けました。
御田植祭は『日本書紀』の神功皇后の伝説にまつわる、五穀豊穣を願う伝統行事。約1800年前、皇后が住吉の大神を祀った時、米を毎日供えるために苗を植えたのが始まりです。大阪・住吉大社の御田植神事の原型と伝えられ、市の農業祭として毎年2千人が訪れます。
戦時中の3年間を除き、絶やさず続く行事ですが、新型コロナウイルスの感染拡大で今年の開催は危ぶまれました。「神様に奉納し、米作りの精神を国民に伝えるためにも絶やしたくない」と考え、代役を同統括本部に依頼し、規模を縮小して催行を決定。恒例の写真コンテストと武道大会を中止し、神事も弓矢で害虫や悪霊など災いを祓い鎮める「弓鎮治舞(ゆみちんじまい)」と、八乙女による田植えに限定しました。JA職員はすげがさを被り、白衣と緋ばかまを身につけ、約160平方㍍の神饌田にイセヒカリの苗を植えました。
鳴瀬道生宮司は「無事催行できてほっとした。代役を引き受けてくれたのは天の助け。おかげで神様がごはんを食べられる」、村上達己統括本部長は「伝統を絶やすことはできない。新型コロナウイルスに負けないよう、豊作を祈願する」と話しました。
育った稲は9月の「御田刈祭」で収穫します。

八乙女姿で横一列に並び、苗を植えるJA職員