山口県の農業
人参
原産地アフガニスタンから、トルコ経由の西洋種と、アジア東方に広がった東洋種に分かれたにんじんは、世界中でたくさんの品種を生みながら広がっていきました。日本へは、まず江戸時代に東洋種が伝わり、全国で栽培されるようになりました。その後、西洋種が渡来し、明治時代以降は食文化の変化とともに、西洋種が一般的になります。私たちが普段目にするのも、西洋種のにんじんです。煮物、サラダ、添え物からお菓子まで、食卓で見ない日はないほど人気の野菜。日本にも数多くの品種が残っているので、一味違うにんじんも味わって見たいものです。
栄養素
体内で必要分だけビタミンAに変わる「βカロテン」を多く含みます。変換されたビタミンAは、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあり、美肌効果や免疫力アップにつながります。変換されなかった分は抗酸化作用のある物質に変わります。また、血液の循環を良くする効果が期待できるカリウム、腸の働きを活発にさせる食物繊維や、ビタミンCを含んでおり、体内から老化防止、生活習慣病予防に役立つ栄養素が吸収されています。ちなみに、東洋種は赤い色素「リコピン」をより多く含み、血糖値の上昇を防ぐ働きを持っています。
選び方
一般的な西洋種は、根元から葉に近い肩の部分まで鮮やかなオレンジ色であること、茎の付け根が細いものを選びましょう。白い横線が入っていますが、これはひげ根の跡。お正月などで使う東洋種は、赤みが強いもの、ひげ根の跡の間隔が均一でまっすぐに並んでいるものが良品です。
保存方法
丸のまま、冬場は冷暗所に置いておけば保存できます。夏場は新聞紙で包むか、ポリ袋に入れて冷蔵庫へ。湿気に弱いので、表面の水気はよく拭き取りましょう。切り分けると、切り口から痛むのでピッタリとラップして冷蔵庫に入れましょう。生のまま冷凍もできます。使いやすい大きさに刻んでから袋などに入れて冷凍庫に入れておけば、使いやすく、長く持ちます。
調理・料理
主役に脇役に、どんな料理にも入っているにんじん。スーパーなどで売っているにんじんのほとんどは、出荷前に機械で洗いながら表面の皮を剥いている状態です。また、にんじんの栄養は、皮のすぐ内側が一番詰まっているので、調理の際はなるべく皮をむかずに使いましょう。βカロテンは、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。華やかな飾り切りにすると、一手間で料理が格段に引き立ちます。
栽培状況
1年中出回っているにんじんは、季節によって産地を変えながら国内各地で生産されています。もっとも収穫量が多いのは「秋にんじん」を担当する北海道。にんじんは暑さに弱いため、夏場は北海道で作られています。そのほか、初夏までの「春夏にんじん」の生産は徳島県、「冬にんじん」は千葉県や青森県が有名です。山口県では、12月から3月と、5月から8月に収穫が多くなります。萩市、山口市、周南市を中心に県内でもリレー出荷ができるように栽培を進めています。
主な品種
私たちが普段食べているのは「五寸にんじん」と呼ばれる西洋種のにんじん。お正月に出回る、赤いにんじんは、東洋種の「金時にんじん」です。にんじんは西洋種と東洋種に大きく分かれますが、色も形も様々な品種があります。中国系の品種「金美」や、沖縄の在来種「島にんじん」は黄色い品種。皮は紫色、中身がオレンジ色の「紫にんじん」という品種もあります。「熊本長にんじん」という細長い品種は、長いものは1~2メートルになる熊本市が指定した「ひご野菜」のひとつです。長さ10センチほどの小さな品種「ベビーにんじん」というのもあり、生のままサラダや付け合わせに使います。
旬
本来のにんじんの旬は秋の終わりから冬です。現在はいつでも手に入れることができますが、やはり旬の時期の方が甘みが強く栄養価も高くなります。また、金時にんじんは11月から春先に集中して出荷されます。これは、お正月時期の需要が多いためです。