山口県の農業
いちご
みんな大好き、フルーツの主役

真っ赤な見た目と甘酸っぱい香りが広がる、いちご。本来は春の訪れを感じさせる食材ですが、近年は冬に出荷のピークを迎えます。世界的に人気がある中、生食での消費量で日本はトップクラスで、品質や種類も海外から高い評価を受けるほど。食卓に並んだりスイーツに飾られたり、ジャムやコンポートにしても手軽に美味しくいただけるいちごは、一粒にたくさんの栄養素が詰まっています。日本人の深い愛情により、フルーツの主役は今尚進化を続けています。
栄養素
いちごに含まれる栄養素は、何と言ってもビタミンCです。風邪予防やストレスへの抵抗力を強めるほか、コラーゲンの生成を助ける働きもあります。いちごは5~7粒でおよそ1日分のビタミンCを摂取できると言われるほど含有量が多く、また摂取しやすい食材です。いちごには、葉酸も含まれています。葉酸は赤血球や細胞の生産・再生を助ける働きがあり、胎児の成長に大きな影響を与えます。特に妊婦には欠かせない栄養素の1つと言えます。ビタミンCと合わせて取ると、貧血予防も期待できます。鮮やかな赤色の元は、アントシアニン。眼精疲労回復や、アンチエイジング効果につながる成分です。他にも、食物繊維や、抗酸化作用を含む栄養素が多く含まれています。
選び方

葉の緑色が鮮やかなものは、新鮮な証拠。ヘタが大きく反り返っていたら、完熟しているサインです。いちごは収穫後追熟しないので、なるべく熟したものを選びましょう。表面にハリとツヤがあり、粒が堅いものは中身がよく詰まっています。ただし、品種によって硬さは違うので注意。パックの底に赤い汁が溜まっていたら、痛み出している証拠です。早めに食べるようにしましょう。
保存方法
洗わずに、ラップやポリ袋で覆い、冷蔵庫で保管します。傷んでいるものがあれば、取り除いておきます。いちごは鮮度が落ちやすいので、冷蔵保存なら早めに食べるようにしましょう。量が多い場合はさっと洗い、水分をよく拭き取ってから、ヘタを取って冷凍します。栄養が失われにくく、1ヶ月ほど保存できます。お好みで砂糖を振って冷凍しシャーベットにしたり、煮詰めてジャムに加工するのもオススメ。長期保存する場合は、砂糖の割合に気をつけましょう。糖度が低いと、保存期間が短くなります。
調理・料理

まずは生のままいただくのがオススメです。いちごが含む栄養素は水溶性が多いので、食べる直前にヘタを取らずにさっと洗い、水気を拭き取って食べましょう。他のフルーツや、ヨーグルトと一緒に食べると、栄養バランスも整います。コンポートやジャムにしても、美味しくいただけます。加熱するとビタミンCなどは失われますが、食物繊維などは維持されますし、加熱することで新たな栄養成分も得られます。砂糖を振ってしばらく置いておき、水分が出てきたらお好みの加減で煮詰めるだけなので、とても手軽。レモン汁を少々加えると、色味が鮮やかになりとろみが出ます。材料がシンプルな分、砂糖の種類によって味わいや色味、栄養成分も変わってくるので、バリエーションを楽しむのもオススメです。
栽培状況

いちごの栽培地域は国内全域に及びます。ハウス栽培によって、いちごの需要が最も高くなる冬から春に収穫時期を合わせています。いちごの栽培は長時間前かがみの体勢になり、農家さんの負担が課題となっていましたが、近年は栽培技術の研究が進み、高設栽培などの改善がなされ品質向上にもつながっています。山口県では、下関市や山口市、長門市、柳井市など、多くの地域でハウス栽培を中心にいちご栽培が行われています。
主な品種
いちごの品種は全国に数多くあり、現在も新しい品種の開発研究が進んでいます。全国的に有名なのは福岡の「あまおう」、栃木の「とちおとめ」、静岡の「紅ほっぺ」などです。従来の赤いいちごに加え、近年は「白いちご」の品種も登場しました。山口県では主に「かおりの」を生産しています。「かおりの」は三重県で生まれ、酸味が少なく、爽やかな甘みと上品な香りが特徴です。
旬
いちごの旬は本来、春から夏の時期です。現在でも露地栽培のいちごは5月~7月に収穫時期を迎えます。しかし、ハウス栽培の技術向上により、ほぼ1年中いちごを手に入れられるようになりました。特に、12月~5月にかけての時期に収穫できるよう栽培されているため、この時期がいちごの旬とも呼べるかもしれません。