山口県の農業

ほうれん草

画像:ほうれん草

西アジア、ペルシャが原産地のほうれん草は、アジアの「東洋種」とヨーロッパの「西洋種」に分かれ世界へ広がりました。中国語に由来する名前の「ホウレン」は、ペルシャを意味します。シルクロードを渡り中国にやってきたほうれん草が、日本に入ってきたのは江戸時代。最初に東洋種、明治時代には西洋種も導入されました。初めはアクが強いことから人気が出ませんでしたが、品種改良やアニメ「ポパイ」に登場したことで、現在では定番野菜のひとつになっています。近年は冷凍食品としても重宝される、栄養価の高い食材です。

栄養素

ほうれん草は栄養価が高いことで有名です。主にはβカロテンやビタミンC、鉄、カルシウムなどがあります。βカロテンは、ごま油やナッツに含まれるビタミンEと一緒にいただくと沢山摂れます。抗酸化作用が高く、風邪予防や目・皮膚の健康につながります。また、カルシウムはビタミンDを含む青魚などと一緒に食べると吸収率が高まります。ほうれん草は鉄分が多いとも言われています。造血作用を持つ葉酸も一緒に摂れるので、貧血予防にうってつけの野菜です。

選び方

画像:販売風景

葉先がピンと張っていて、緑色が濃く、肉厚なものが新鮮です。葉脈が綺麗な左右対称であることもポイントです。茎が適度に太くしっかりしていて、根元が赤いものを選びます。赤色は、ほうれん草に含まれるミネラル分・マンガンの色で、甘みが強い証拠。根元の切り口が大きいことも大切です。

保存方法

乾燥は禁物。濡れた新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。生食の場合は、1〜2日で使い切るようにしましょう。長期間保存する場合は、固めにさっと茹でてカットし、ラップに包んで冷凍庫に入れて保存しましょう。

調理・料理

画像:キッチンの女性

ほうれん草には、シュウ酸と呼ばれるえぐみの素があります。このえぐみを取るために、下茹でするのが一般的でしたが、最近は生食用にシュウ酸が少ないほうれん草も登場しています。きのこ類やゴマとおひたしにすると栄養分の吸収率が上がり、美味しくいただけます。油でさっと炒めて、チーズをかけるのもおすすめ。スープにするときは下茹での必要はありません。ざく切りのほうれん草を生のまま入れると、栄養分がスープに溶け込んで丸ごといただけます。また、スープで煮込んだほうれん草を攪拌してポタージュにするのもおすすめ。魚との相性も良く、他にもグラタンにしたり、パスタの具に使ったり、焼き飯にしたりと、何にでも合うのがほうれん草の強みです。

栽培状況

画像:生産者

日本のほうれん草生産量は世界でも上位を争っています。全国的に生産されていますが、主要地域は千葉県と埼玉県です。1年を通して出回っているのは、品種によって収穫時期が違うから。秋蒔きの東洋種と春蒔きの西洋種により、少しずつ時期をずらして収穫しています。山口県では、標高差を利用して、萩市福賀地域、美祢市於福地域、周南市八代地域や山口市阿東地域等、中山間地域で夏場の生産を中心に。平坦部、瀬戸内沿岸部で冬場の生産が盛んです。また、美祢市の生産者さんがエコファーマーとして、食の安全を考慮した生産に携わっています。

主な品種

ほうれん草は大きく3種類に分けられます。アジア地域に広がった「東洋種」とヨーロッパ地域に広がった「西洋種」、そして2つを掛け合わせた「交配種(一代雑種)」です。東洋種は切れ込みの入った薄い葉で、アクが少なく淡白な味が特徴です。西洋種は葉が厚く丸みがあり、濃厚な味です。現在は両方の特性を併せ持つ交配種が主流ですが、他にも露地栽培で作られる「ちぢみほうれん草」や、生食用に品種改良された「サラダほうれん草」なども出回っています。また、交配種にも剣葉系と丸葉系がありますが、現在は丸葉系が中心です。山口県でも、交配種の栽培が盛んに行われています。

本来の旬は11月〜2月の冬の時期。葉の色が濃くなり、ビタミンC含有量は通常の3倍にもなります。気温が下がると、葉の水分が凍らないように、植物は体内の養分濃度を上げるため、栄養価が高く、甘みの強いほうれん草がいただけます。